『関ジャム 完全燃SHOW』で恒例の「プロが選ぶ年間ベスト10大発表」がことしも1月10日、17日の2週にわたって放送された。プロならではの視点で選ばれた曲は知らない曲も多く、発見と関心を味わうため毎年楽しみにしている企画だ。
今回、選者にはいしわたり淳治さん、蔦谷好位置さんのおなじみの2人に加えて、現役バリバリのプレイヤーである川谷絵音さんが初参加。三者三様の選曲、そして共通項が非常に面白かったのでランキングとともに語りたい。
大衆を意識し続けるいしわたり淳治
まずは作詞家、音楽プロデューサーのいしわたり淳治さんのベスト10は次の通り。
1位:YOASOBI「ハルジオン」
2位:藤井風「何なんw」
3位:MIZ「パレード」
4位:りりあ。「浮気されたけどまた好きって曲。」
5位:NiziU「Make you happy」
6位:ちゃんみな「ボイスメモ No.5」
7位:50TA「ラブアース」
8位:GOOD ON THE REEL「背中合わせ」
9位:ひらめ「ポケットからきゅんです!」
10位: 秋山黄色「サーチライト」
作詞家のいしわたりさんだけにランキング曲は詞を第一に選んでおり、ひらめ『ポケットからきゅんです!』、りりあ。『浮気されたけどまた好きって曲。』とTikTokで人気となった曲から、時代にあった言語センスを評価していた。
言葉という常に変化するものを仕事としていることに自覚的で、常にアンテナを貼っていることは、遠くから見えば同じ言葉を仕事するカテゴリーに属する自分にとっても刺激になった。
また、いしわたりさんは「定点観測のために必要」とテレビをよく見ると常々公言しており、7位に入った50TA『ラブアース』はそんないしわたりさんでないと選べない曲だ。
50TAとは芸人の狩野英孝さんがシンガーソングライターとして活動する際の名前で、いしわたりさんは『ラブアース』の「体中から あふれてくれる」との歌詞に続き「何コレ?すっごーい」とあることに、湧いてきた力に対して感想まで歌った曲は新しい発明だと評価していた。
言われてみればなるほどで、フラットな目線ってこういうものだと妙に感動した。
次にくる音楽を選んだ川谷絵音
次に今回初登場の川谷絵音さん。プレイヤーとしてもプロデューサーとしてもヒットメーカーであり、時代の寵児。日経エンタで連載するヒット曲分析も非常に面白く、先日も「募るJ-POPへの危機感 K-POPは世界標準」との記事が話題を呼んだ。
そんな川谷さんが選んだ10曲は次の通り。
1位: 藤井風「罪の香り」
2位:ずっと真夜中でいいのに。「暗く黒く」
3位:yama「春を告げる」
4位:さとうもか「melt bitter」
5位:SuiseiNoboAz「3020」
6位:YOASOBI「群青」
7位:どんぐりず「マインド魂」
8位:MAMAMOO「Dingga」
9位:NEE「不革命前夜」
10位:aiko「ハニーメモリー」
ベテランの衰えぬ発想力を評価したaiko「ハニー」や世界的ヒットのK-POPの中であえてMAMAMOO「Dingga」を選んだりと個性が光る選曲だが、全般ではチャートをにぎわす次に今年くるアーティストを多く選んでいる印象だった。
以前Twitterの弾き語りオーディションに応募してきたというikuraがボーカルを務めるYOASOBI「群青」は既にブレイクしており、その歌声を絶賛したyama「春を告げる」、同じく歌声と曲の展開のセンスを褒めたずっと真夜中でいいのに。「暗く黒く」と2021年に大きく飛躍が期待されている女性アーティスト。このあたりは現役プレイヤーとして、より次世代に敏感ということかもしれない。
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