関ジャム「プロが選ぶ年間ベスト10」三者三様の選曲、そして藤井風という清風

命を祝福する曲を選んだ蔦谷好位置

そして番組ではお馴染みの蔦谷好位置さん。川谷さんと同じく音楽を中心とした選曲も、自分の思いにより正直に、よいと思ったものを選曲していて、コメント一つひとつに熱量がこもっていた。

1位:ROTH BART BARON「極彩 | I G L (S)」

2位:Tempalay「大東京万博」 

3位:(sic)boy ,KM「Heaven’s Drive feat.vividboooy」

4位:TENDRE「HOPE」 

5位:藤井風「優しさ」

6位:Lucky Kilimanjaro「とろける」 

7位:never young beach「やさしいままで」

8位:OmoinotakeOne Day

9位:RyohuThe Moment

10位:どんぐりず「nadja

特に印象深かったのが番組で紹介する曲大トリとなったROTH BART BARON「極彩 | I G L (S)」。蔦谷さんは、こうコメントしている。

この曲は全ての祝われなかった命へのレクイエムであり、何があろうと圧倒的に生を肯定する応援歌に感じた。

ROTH BART BARONは「極彩 | I G L (S)」の入ったアルバム制作中にメンバーが脱退し、三船雅也さんひとりになった。

三船さんはアルバムの制作について次のようにインタビューで語っている。

コロナ禍でタイムラインを見ると、悲しみが溢れてて。そこで、ひとりで信州の山小屋に歌詞を書きに行ったんです。周りには猪や鹿がいて。そこには完璧に豊かな景色があった。人間のことばかり考えてたなあって思ったんですけど、人間をやめるわけにはいかない。そこでシンプルだけどいろんな人に当てはまるような言葉が出てきた時に、もっと遠くに届けられる音楽が作れるんじゃないかって思えて。

コロナウイルスにより多くの命が奪われた2020年。その現実、悲しみと向き合いながら、全ての命を祝福し、「君の物語を絶やすな」と歌う。

蔦谷さんは三船さんの仕事について「音楽家はこうあるべきだと思うし、もっとたくさんの人に聴いてもらいたい」と賞賛。コロナ、そして緊急事態宣言で拭えぬ不安を誰もが抱える今だからこそ聞いてほしい曲で、最後に紹介するにふさわしい曲だった。

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藤井風という清風

出典:藤井風『HELP EVER HURT NEVER』

そして今年の最大の注目点は藤井風を三人ともがランクインさせたことだろう。番組史上初だという。

これまで語ったように三人は三人それぞれの視点で選曲をしたが、そのどれもで高評価される。

「近年で1番衝撃を受けました。声良し曲良し歌詞良し、非の打ちどころのない才人」(川谷絵音)、「すべての才能が驚異的な2020年を代表する天才」(蔦谷好位置)とまでプロに言わしめるその才能は、規格外だ。

では、それぞれどこを評価したのか。

いしわたりさんは藤井風のメジャーデビュー曲『何なんw』を2位に選んだ。

ポイントに挙げたのは歌詞。岡山弁の使い方だった。

一人称は「僕」や「俺」ではなく「ワシ」。そして「あの時の涙は何じゃったん」など方言のフレーズにしたことで生まれる言葉のリズム感を上手く使っている。

そして川谷さんは1位に『罪の香り』を挙げた。川谷さんは途中に出てくるコード進行について「あんなコードでこんなキャッチーな曲は俺はつくれないな」

さらに12月リリースの『青春病』も評価し「来年も1位になると思います。最近の曲もよくて底が見えなくて怖い」とまで言ってのけた。

蔦谷さんは『優しさ』を5位に選んだ。ポイントに挙げたのは出だし。

この曲のイントロを聴いた時に彼の和声感のセンスに感服しました。彼が好んで聴いて演奏してきた経験から生まれた美しいボイシングだと思います。

蔦谷さんは藤井さんがYouTubeにアップするカバー曲の選び方のセンスも褒め、プロデューサーであるYaffleとのコンビで今後もヒット曲を作り続けていくだろうと語った。

作詞、作曲、そして歌手として、プロたちがこれほどにまで褒めるアーティスト。改めて藤井風のすごさを感じる。

その音楽的才能に加え、男でも惚れるルックス、「生まれ故郷である岡山県里庄町につい最近まで住んでいた」「普段は岡山弁だが英語になると突然発音がよくなる」「兄姉の名前が空、陸、海」などエピソードが豊富な点、そしてメディアでのインタビューを受けないなど、誰もが語りたくなる要素の塊といえる。

藤井さんだけでなく、川谷さんが4位に選んださとうもかさんも岡山出身だ。

お笑い界では岡山出身の千鳥が活躍中だが、音楽界で藤井風がさらなる飛躍を遂げれば、2021年は後世、岡山の年と言われるかもしれない。そんな妄想が広がる番組だった。

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