『M-1』上沼恵美子さんの採点 2019年はどうだったのか

今年も盛り上がったM-1グランプリ。松本人志さんからも史上最高レベルと語られた令和最初の大会はミルクボーイの優勝で幕を閉じました。

M-1と言えば審査員の採点が毎年話題となりますが、2019年は7人の審査員は10組の出場者にどんなジャッジを下したのでしょうか。

今年は審査の点数にバラツキがなかった上沼恵美子

M-1グランプリ2019の各審査員の得点の表ですが、以下のようになります。

表にある標準偏差とはデータのばらつきを見る指標で、大きいほどばらつきがあります。

2018年は好き嫌いで得点をつけていると批判され、標準偏差も審査員の中で最もバラつきの多い4.928だった上沼恵美子さんですが、2019年は全ての演者に対し90点以上をつけ、標準偏差も7人中2番目に低い2.234でした。

この変化は昨年の批判などの影響も少なからずあるのかなと思います。

絶妙に好みが違う立川志らくと上沼恵美子

とはいえ点数では差はつけなかった上沼さんですが、番組ではまたまたインパクトを残しました。

からし蓮根の審査をする際に、突然2つ前の和牛への批判をぶちかましたのです。突然の展開にテレビの前で驚いた人も多かったんではないでしょうか。

2019年大会で最終決戦に進出したのはミルクボーイ(681点)、かまいたち(660点)、そしてぺこぱ(654点)の3組。上位2組は数字が抜けていましたが、ぺこぱと和牛(652点)の差はわずか2点でした。

では審査員7人はこの2組にどのような評価を下していたのでしょうか。

審査員のうち、ぺこぱをより評価していたのはオール巨人さん、サンドウィッチマン富澤さん、松本人志さん、上沼さんの4人。和牛をより評価していたのはナイツ塙さん、立川志らくさん、中川家礼二さんの3人でした。

最もこの2組に点差をつけたのは志らくさんで、和牛とぺこぱには5点差をつけています。その次が上沼さんで、志らくさんとは逆にぺこぱを評価し、和牛とは4点差をつけています。

昨年の大会を振り返っても志らくさんが10組中最高の99点をつけたジャルジャルに対して上沼さんは88点。一方で上沼さんが最高評価の98点をつけたミキに対して、志らくさんは89点と2人は評価基準が真逆と言えます。

そんな2人が審査員だからこそ今年のM-1は奇妙なバランスが取られ、和牛とぺこぱも接戦となりました。もし、どちらか1人だけならば、その1人の採点が全体の順位にも大きく影響してしまいます。

来年の大会でも審査にバランスを取るためには、2人とも審査員を務める、もしくは2人とも審査員から外れる必要があるでしょう。

さすがと唸る松本人志の採点

決勝でM-1史上最高の得点となる681点を叩き出したについては全員1位でしたが、残る出場者についてはそれぞれ評価基準が分かれています。点数差を抜きにした場合、審査員7人が誰を評価したかを表にしました。

決勝でM-1史上最高の得点となる681点を叩き出したミルクボーイについては全員1位でしたが、残る出場者についてはそれぞれ評価基準が分かれています。

1〜10位と全ての評価が分かれていた審査員はいませんでしたが、それに近い1〜9位ときっちり差をつけて評価していたのでが松本さんと志らくさんです。

特に凄みを見せたのが松本さんでした。標準偏差が4.185と審査員中でダントツに高かったのですが、次の表を見てもらうとわかるのですが、その審査がとにかく的確。ほぼ全体の順位通りの評価をしていました。

最後に個人的な感想を少し。ミルクボーイの「コーンフレーク」ネタには腹を抱えて笑いましたが、新しさを感じたのはぺこぱのノリつっこまないツッコミでした。

あれは誰も傷つけないツッコミですし、面白いだけでなく正しくなければと言う風潮の中、今後のテレビなどで必要とされる優しい笑いなのかなと感じました。ネタのチョイスも超高齢社会、働き方改革などを皮肉を交えずにネタに昇華していたのが印象的でした。

またミルクボーイ、ぺこぱとボケよりもツッコミが目立って笑いを取る流れはまだ変わらないのかなとも思いました。

最後にナイツ塙さんがミルクボーイに対し発言していた「誰がやってもある程度面白いネタがいい」と言うネタ論や、漫才の評価基準についてはこちらの新書に詳しく載っていますので、興味ある方は読んでみると面白いかもしれません。

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